直立不動のまま動けなかった。
いったい自分の中で何が起こっているのか、
現実を認識するのに、15分かかった。
7年間、自分の姿を一度も鏡で見ていない。
お腹が大きくなりすぎて、体重計の数字が見えない。
100kg以上になると、身体を支えるのも重労働。
常に鉄のバーベルを背負っているような感覚。
「自分が変わるしかない」と分かっていても、
何をどこから手を付けていいのか、分からない。
浦島太郎が玉手箱を開けた瞬間は、
どんな気持ちだっただろう。
最悪の自分を受け入れたら、良い意味で開き直れた。
もう上がるしかないのだから。
「どうして、裸なの?」
7年振りに交わした母との会話が、それだった。
脂肪で身体がコーティングされているから、
服を着ると、肌が焼けるように熱くなる。
父がユニクロで服を買ってくるが、
ゴム使用のものでないと、見事に入らない。
高校の文化祭では、同級生の服を借りて、女装したことがある。
スカートがスムーズに入って、軽く落ち込んだのを思い出す。
10代の頃は、ピアノを6時間以上練習しても、
全く疲れを感じることがなかった。
25歳の私は、30分練習するだけで、
おしりが痛くなって、集中力が途切れてしまう。
当たり前にできたことが、
当たり前にできない。
良い意味で開き直れたはずなのに、
どうしようもない絶望感が広がる。
ただこの状況を乗り越えることができたら、
どんな状況にでも対応できるようになる。
最悪の自分を認めることができたら、
もう恐れるものはない。
自分に文句を言う暇があったら、
今、目の前のことに集中する。
中途半端な自信はいらない。
思い上がって傲慢になるくらいなら、
この状況は自分自身を高める最大の好機。
集中することに集中する。
止まった運命の歯車が、今、動き出す。
*「7年間のひきこもりからYSカウンセラーへの軌跡」
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