「日出づる国の行方」(Vol.2)

連載第2回目の今回は、平安時代の皇族や貴族、農民の食生活について触れながら、
今の私たちの食生活について考えてみたいと思う。

平安時代というのは、皇族や貴族、農民などの階級が鮮明となり、
そこに様々な食生活の違いや文化が生まれた時代だったようだ。

皇族支配がかなり強くなり、一般の農民は朝から晩まで働き通しでありながら、
日に2回の食事が普通で、富を蓄え力を持っていた「富豪」と呼ばれた農民とは
その生活レベルは明らかに異なっていた。

同じ農民の中でも、そういった貧富の差が色濃く反映され始めた、
新たな時代の到来だったとも言われている。

一般の農民は、米を食べることはあまりなく、
粟や稗に雑穀を混ぜた程度のお粥が主食であった。

その反面、皇族や貴族はと言うと、米を食べ、葉物野菜や魚・肉類なども食していた。
醤油や酢・味噌などで味付けもなされていたようで、麺(今で言う”うどん”の
ようなもの/唐から伝来した)も食していたとの記録もある。

遣唐使によって、唐から持ち帰られた仏教文化(真言密教:空海、天台宗:最澄)の
普及もあり、肉類を口にする機会はあまりなかったそうだが…。

現代の日本人はどうだろうか?

「貧富の差」は現代でも拡がりが顕著に見られ、
その食生活についても大きく異なっている。

自炊をほとんどせず、昼夜問わず、高級レストランで毎日食事をする者もいれば、
毎日毎日電卓をたたきながら、日々頭を悩ませて質素な食事をするしか
術がない者まで様々だ。安価で手軽なファーストフードやジャンクフードばかり
食している者も多い。

そんな中でも特に、今の日本人は「魚」を食さなくなってきているそうだが、
その理由が「捌けない」「片付けとかが面倒臭い」「おいしいと思わない」などが
挙げられている。

スーパーなどの店頭では、捌かれた状態や開きになった状態で売っているため、
それが「魚」だと思っている子供も少なくないそうだ。

日本は海に囲まれた海洋国家でありながら、魚の本当の姿を知らない
子供達(や若い世代)が事実存在し、肉中心やファーストフード、コンビニ弁当など、
自分の好きなモノだけを口にする傾向が強くなってきている。

また「うちの親は魚が嫌いだから、おかずに出たことがない。給食の時は
いつも魚だけが食べられず残していた」など、親の偏食の影響をモロに
受けてしまっているケースも非常に増えている。

このまま日本で、偏った食生活が平準化されていけば、
やはり【病気が起こりやすくなり治りにくくなる】ことと
【平均寿命が短くなり出生率も低くなる】ことが深刻化する日も近いだろう。

他には【脳の発達が遅くなり学力や技術力が低下する】なども
深刻化するはずだ。

成人病、アトピー・乾癬などの皮膚病、リウマチや糖尿病、癌、心筋梗塞や脳梗塞の
さらなる増加…偏食が激しくなってしまっているため、治癒力が低く、
医学の進歩とは裏腹に、本来は治る病気も治りづらくなってしまう…。

国家、国力にいかなる影響がこれから出始めるのか。

皆さんは食事がどれほど大事なものなのか、
しっかりと考えたことはありますか?

by マーケ・コンサル会社勤務/kazz

*「日出づる国の行方」Vol.1はこちら / vol.3はこちら / 記事一覧はこちら

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