タフな外国人

中目黒で、めちゃくちゃしぶとい外国人に会った。
いや、「遭った」と表現すべきかも。
見た目はスペインかイタリア系と思われる20代であろうその男性が、中目黒の駅前でふと道を尋ねてきた。
尋ねてくるくらいどうということはないんだけど、問題は日本語がいっさい通じないのと、彼の呆れるくらいの強引さだ。
まず、「○○道場はどこか?」と、電話番号を渡された。
私の携帯で、住所を問い合わせろというのだ。
やりとりはすべて英語で、私は話せないから基本的に指示に従うしかない。
しかし不思議なことに、市外局番は03から始まってはいない。
まってくれ、普通、道を尋ねる場合は、徒歩圏内にある場所だろう?あなたはどこまで行くというのだ?いや、むしろどっから来たの?
電話をした先は、某道場の稲城支部(東京都下)。とりあえず日本人が電話に出てくれて良かったが、住所を聞き出そうとした私は、完全に不審者扱いだ。
ちょい待ち、私だってこのイタリア男性(おそらく)を不審だって思ってるよ。なのになぜ、私が同じ日本人から不審がられなきゃならない?
イタリア男性にはジョジョの奇妙な冒険に出てきたシーザーという波紋使いのかっこいいイメージがあったが、それも今日でおしまいだ。
かえってこちらが石仮面を被りたい。
続いての彼の要求は、
「ここから俺はどうすればいい?」だ。
知らんがな!
私も稲城市まで行くルートはわからない。
たまらず、駅の案内係の人に引き渡したが、そのあとも私に
「切符の買い方を教えてくれ」
「ホームはどっちだ?」
と、要求は続いた。
この男、本国で電波少年みたいな番組に出させられてるんじゃないだろうか?
最後には笑顔で改札の中に入っていった彼。その後のことは知らないが、無事を祈りたい。

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